恋し、挑みし、闘へ乙女
「彼は国家親衛隊隊長です。役目として、私の警護は常に彼が担っています。ですが、それだけではありません」

悪戯っぽい目が綾鷹を見る。

「僕は一人っ子です。王位継承権の二番目は彼です。僕が死んだら彼は王にならなくてはいけません。彼はそれが嫌なので、必死に私を守っているのです」

「私情で、ですか……」

乙女の呆れたような瞳が綾鷹を見る。

「そう、彼は仕事でもなく、義務でもなく、私情で私を守っているのです。今回の件も、身代わりを率先して志願した。きっと下心があると睨んでいましたが……」

チラリと乙女に目をやり、「なるほどね」と意味深に目を細める。

「婚ピュータが乙女さんの相手に僕を選んだとき、担当者から内密に連絡が入りました。申し訳ないのですが、僕には心に決めた人がいます」

「何と! 月華の君は恋愛派だったのですか?」

乙女の瞳が煌めく。

「そういう派閥があるとは知りませんでしたが、僕は彼女を心から愛しています」

キャーッと両手で頬を押さえ「リアル恋愛小説だわ」と興奮気味に呟く。

「ちょっと待って下さい!」

いきなりキツイ声が間に入る。
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