つちかぶりひめ


「十夜様??」


いつものように十夜が来たのだと、御簾を上げる。

物音は未だに外から聞こえ、恐る恐る襖を開けたさくは、体を正面から押され既視感を感じていた。



また十夜かと一瞬緩んだ力だったが、着物から香る匂いがいつもの十夜の物とは異なる。


はっとして顔を見れば、十夜と似たような、けれども十夜よりも鋭い雰囲気を持つ風貌の青年がさくをじっと見つめていた。



「誰!?」


「ふぅん。君が…」


品定めするように、自分の下にいるさくを上から下まで見る。


「顔は中の上から上の下ってとこか。このぐらいなら普通にいるし、ってことは夜の方が良いのかな」


そう言ってさくの服に手をかけたその青年を、さくは思いっきり足で蹴り上げた。


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