たとえばきみとキスするとか。
恋に落ちた音だった。






「あれ、莉子がネックレスしてないなんて珍しいね」


そして次の日の体育の授業。ジャージに着替えている最中に、しいちゃんがすぐに私の首もとに気づいた。


「もしかして、また切れちゃったの?」

「う、ううん。そういうわけじゃないんだけど……」


ネックレスはしていないけれど、ちゃんとポケットには入っている。でも、なんとなく今日は外してしまった。


ずっとずっと、大事にしていた初恋の思い出。
なんだかそれが一瞬で変わってしまったかのように、私の気持ちはまだ落ち込んでいる。 

蓮が悪いんじゃない。

私がいつまでも、大切にしすぎてしまっていただけ。


着替え終わって教室を出ると、廊下を歩く零を見つけた。しかもその足は明らかに保健室のほうへと向かっている。


「零」

私はその背中に声をかけた。

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