たとえばきみとキスするとか。


それからリビングで本を読んだり、月曜日に提出する課題をしていると蓮が「コンビニに行こう」と誘ってくれた。

どうやらお昼ごはんを買いにいくみたいだ。

私はお財布だけを持って、蓮と外に出る。肩を並べて歩くのは朝の登校で慣れているはずなのに、コンビニに向かっている今はなんだか気恥ずかしい。


「休日に莉子と会うこと自体、久しぶりだよね」

「うん。学校ではいつも会ってるけどね」

「だって莉子、遊びに行こうって行ってもなかなかオッケーしてくれないから」

蓮が私の顔を覗きこんできたから、前髪を触るフリをして目は合わせなかった。


ただの幼なじみとしてだったら芽生えなかったことがたくさんあって。私は蓮のことを意識しはじめてから色々なことがダメになった。

ふたりきりで出かけることも、私から蓮に触ることも、目を3秒以上見れなくなったことも。

私が蓮に恋をしてから、いちいち心臓がうるさくなるし、顔も熱くなるし、人を好きになるって風邪をひくみたいに色々な症状が表れるから大変だ。



「あ、あのさ。れ、蓮は……恋をしたことがある?」

私は勇気を振り絞った。

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