たとえばきみとキスするとか。


「……あ……」

そこに書いてあったのは【C賞 マスコットキーホルダー】偶然にも零と同じものだった。


私も店員さんから青い洋服のクマを受け取って、そのつぶらな瞳と見つめ合う。
 

「もう1回やる?」と零に言われて、私は首を横に振る。


「ううん。これがいい」 

気づくと私はそんな返事をしていた。


零とおそろいになってしまったキーホルダー。零は絶対にいらないって言うと思ってたのに「同じもの持っててもしょうがないだろ」と、私にくれたりはしなかった。


「零もカバンにつけたら?」

「センスないと思われるだろ」

「なにそれ!クマに謝って」

また私たちはひとつの傘を使い、雨の中を歩く。コンビニを出て数メートル。


「莉子?」

誰かに名前を呼ばれた気がして振り向く。


「え、柊花!?(しゅうか)」


それは同じ中学の友達だった。

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