軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
「……違う人みたい……」
思わずぽつりと呟けば、身支度を整えてくれた侍女が「とてもお似合いですよ」と褒めてくれた。
鏡の中にいるのはあどけなさすぎる少女ではない。清楚な魅力を纏う立派な淑女だ。年相応とまではいかないけれど、普段よりずっと大人びて見える。
綺麗な格好をすることを特には嬉しく思わないけれど、ここまで変身した自分の姿は面白い。
「ねえ、クーシーに見せたいわ! もしかしたら私って分からないかも! あ、でも、犬だから匂いで分かっちゃうか」
はしゃぐシーラに、侍女は少し困ったように微笑んだ。
「シーラ様、すでにお客様はお着きになられております。謁見室に参りましょう」
つまり、寄り道している余裕はないようだ。
シーラは少しつまらなさそうに「はーい」と返事をすると、ドレッサーの前のスツールから立ち上がった。