アーモンド~キミとの物語~


「もう秋物の服出すの?まだ春なのに」

「まあね。その年や季節ごとに流行りとか変わってくるし良い品を作るなら早めに取り組まなきゃならないからね」

「……そっか」

千咲はずずっと一口ココアを呑む
洋服や飲食店だと季節ごとに流行りもコロコロ変わる
玲央や華も同じようなことを言ってなと思い出していた

季節ごとにたくさんの品や作品が出てる
それをどう感じるかはお客さんにしか分からないしお客さんの気持ちになって考えるのも仕事のうちだ、と

「そういや、最近創ちゃん見ないけど元気?」

「元気だよ?見掛けたりしないの?」

「あまり無いかなー」

創ちゃんとは創汰のこと
咲良は創汰のことをそう呼んでいる
本人は人前でそうやって呼ばれるのを嫌がっている

「たまには顔出しなって言っといてくれない?創汰の好きなのもの作っておくって」

「ふふっ、じゃあ伝えておくね」





そんな会話をしているのを知らずクシャミをしたのは創汰だ

「へっくしょん!……風邪かな?」

ずず、と鼻をすする

「まあ、いっか」




夜が更け外は曇っていてまるで今にも降り出しそうな天気だ
前日の晴れ間がまるでウソのような




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