ただいま冷徹上司を調・教・中!
何が起きたのか、私には全く理解できなかった。

どうして私はテーブルの上に押し倒されて、大嫌いなヤツの下にいるんだろう。

両手を押さえつけられて、高揚した和宏が私を見下ろしている。

それが理解できたとき、一瞬にして全身に悪寒が走った。

「やめてっ!離してよっ!」

起き上がろうともがくけれど、和宏は一向に手の力を緩めようとはしない。

「聞こえてんでしょ!?離してって言ってんの!」

ものすごい形相で睨みつけると、和宏は気持ち悪い笑みを浮かべて私を見つめた。

「俺と付き合っていたころの千尋は、まるでお人形さんみたいだったよ」

突然語り始めたが、特に聞いてやる義理もないので懸命に暴れる。

「今の千尋は全然違う。攻撃的だけど、とっても魅力的だ」

そう言って笑う和宏の顔に身の毛がよだつ。

「何言ってんの?気持ち悪いにも程がある」

「千尋の新しい魅力に気付かされたんだ。自分の気持ちをぶつけてくれる千尋が好きだ。やっぱり俺には千尋がしかいないんだ!」

ガバッと首筋に顔を埋めてきた和宏を押し退けようと、必死に体を捩るが全く怯むことがない。

「ふざけんじゃないわよ!今さらこんなことして受け入れてもらえると思ってんの!?離して!本気で大声出すわよっ!」

もはや本当に大声を出しているわけだけれど、定時後の会議室になど誰もやっては来ない。

「千尋っ!今度こそ俺達上手くいくって。力抜いて受け止めてよ」

「抜けるかっ!絶対やだっ!死んでもやだっ!」

「なんでだよっ!あれだけ俺に尽くしてくれたじゃないかっ」

このままじゃヤラれるっ。

暴れすぎて乱れたスカートの下から、じっとりと濡れた手が私の太腿を撫でた。

「やだっ!助けてっ!」

平嶋課長っ!

目を閉じて心の中でそう叫んだとき、会議室のドアが大きく開いた。
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