ただいま冷徹上司を調・教・中!
「私は平嶋課長が忙しいのはわかりますけど、彼女は平嶋課長の仕事の事情なんて知らないんですから。ちゃんとフォローした方がよかったんじゃないですか?」

彼女だって3ヶ月間、祈る気持ちで平嶋課長からの連絡を待っていたに違いない。

「いつもは彼女から連絡が来るもんだから、ついつい……」

「なに甘えてんですか。まさか連絡は彼女任せってことはないですよね?」

「連絡する前に連絡が来るんだから、俺から連絡する必要性が……」

「もういいです。わかりました」

平嶋課長がビンタされてクズだのバカだの言われた理由が、よーくわかりました。

平嶋課長という男は、容姿と仕事は完璧だが、どうも恋愛に関してはダメ男のようだ。

私から言葉を切られたにもかかわらず、何が悪いのかわかっていないとぼけた顔。

それを見ていたら、ふと瑠衣ちゃんの言葉を思い出した。

瑠衣ちゃんの言っていた『きっかけ』とは、もしかしたらこのことかもしれない。

このチャンスを逃したら、もう平嶋課長と距離を縮めることなんてできないかもしれない。

そう思った私は、一かバチか賭けに出ることにした。

「小っ恥ずかしいフラれかたをした平嶋課長に、一つ協力を要請します」

そう、あの瞬間を私が目撃したのには、きっとなにか意味があるはずなのだ。

「協力?」

怪訝な表情ではあるが私の言葉の先を促すということは、決して可能性はゼロではないはず。

このチャンスはものにするしかないだろう。
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