TOO MUCH PAIN
クロージングタイム
あれからカオリちゃんと約束をしたのは、8月も後半だった。

日曜日の夕方頃、明日は久々の休みだって時に待ち合わせをする。


私は先にお店についていて、いつものカウンターに座ってビールを飲んでいた。
気になって何度も何度も、カオリちゃんからのメールの内容を確認してしまう。


「もしかして今日か?」


私が落ち着かない様子だったので、鉄さんはそんな風に声をかけてくる。


「うん、ほんとに来るかなあ・・・もう私には会いたくないんじゃないかな・・・」


まだジョッキのビールが空けきらないうちに、にぎやかな団体が入ってきたと思ったら、それはカオリちゃんたちで、その中にエイジもいた。

カオリちゃんとレン君、そして何故かモモちゃんまでいて、私はどうしていいかわからなくなっていた。

鉄さんはその四人を後ろのボックス席に案内していた。


「あっちの席に移るか?」

そういわれたけど、いいよって答えたのに、カオリちゃんが私のところまで来てこっちにきてって引っ張られてしまった。



「ひ、久しぶりだね・・・」

一応全員と面識はある。
エイジの顔が見れないから、レン君に向かってそういうと、レン君は気を使ってにこっと笑ってそうですねなんて答えてくれた。



鉄さんが注文をとりにこっちの席にやって来る。

「エイジ何年ぶりだ、ここに来るの? 子供のころは毎日来てたんだぞ。」

そんな風に楽しそうに話しかけると、エイジは意外と素直にそうだったっけなんて答えている。


「覚えてないか・・・昔は2人でずっと暮らしてたのにな。」


そういえば聞いたことある、満さんが病んでいたとき、二人きりだったから店にもつれてきていたって。

「ここさ、バンド連中みんな来るから、色々遊んでもらってたんだぜ。」


鉄さんはそれだけ言うと、じゃあなって自分の仕事に戻ってしまう。



ああ、間が持たないな・・・



「だからか、俺初めて親父のライブ行った時、みんな俺の事知ってるんで引いたんだわ・・・」


斜迎えに座っているエイジは、独り言のようにつぶやいた。


モモちゃんはエイジの隣の一番奥で、じっと様子を伺って黙ってウーロン茶を飲んでいる。


「話があるんでしょ、ちゃんと話していいよ。」

カオリちゃんは相変わらず空気読まないよなあ・・・なんておかしくなる。
でもそれが安心する。私達の微妙な雰囲気を壊してくれる。


「やっぱ無理だわ・・・」


エイジは急に立ち上がって、ちょっときてって私の手を取ると、店の外へ連れ出してくれた。



「モモ、俺ちゃんとけりをつけてくるから、待ってろ。」


そう彼女に言い残して。




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