バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
「どうぞ…」
昼過ぎに起きた彼女を組敷けば、突然抵抗をやめて手を広げる彼女に驚いて動きが止まってしまう
「昨日は飲んでませんでしたよね?でも、血を吸うために私の前に現れたんでしょ?」
そうじゃないけど、すべてがばれてしまうので勘違いさせておきたい
目をつむる彼女は、全く抵抗する気がないようで逆に早くしろとばかりに頭を横にして首元を露にする
すごく彼女の血を吸いたいが、今はどんな味がするか想像できなくて怖い
無気力ではないようだが俺を拒絶する味だったら昨日は俺を求めていた彼女との落差で耐えきれない
どうしようか考えていたら静かに彼女は寝息をたて始めた
それもそうだ、昨日はずっと俺の欲望にさらされ彼女を寝かさなかったどころか今日まともに動けないくらいだ
彼女の胸を撫でる
「今はどんな味がするのか…」
昨日から何だか彼女の態度が柔らかい
ロキとして側にいる時はとても穏やかだが、俺がヴァンパイアとして近くにいるときは少し悲愴感があって儚い、まるで夢の中をさ迷っているようだ
俺と肌を重ねている時も俺を求めているんじゃない、固く目を閉じてその刺激や快感を求めているだけできっと俺のことは見ていない
これはきっと俺への罰だ、俺がどれだけ彼女の瞳に映りたくても彼女の瞳は俺を無視する