バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
ーどくん、どくんっー

彼女の心臓の音を背中越しに確認する

先程まではぁはぁと小さく息を吐いていた呼吸も落ち着いてきた

限界を超えた刺激に気絶しただけのようだ

甘く気だるい倦怠感が二人を包んでいる

彼女がこんなになるまでやるつもりはないのに歯止めがきかなくなる

彼女は俺のストッパーを簡単に壊す

どう接すればいいのか分からなくなり、時に動けなくなってしまうほど…

何度もこんなにして起きたときに怒られるのだろうか、そう考えるととても怖い

でも、一年前のあの時のようにまるで俺なんていないかのように振る舞われることに比べれば何てことない

こんなに暖かく満たされた気分で眠りにつくことができることを初めて知る

このまま幸福な睡魔に身をまかせて、俺ももう少し寝ることにしたー
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