バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
第三章
ロキが帰ってこない、私の首に首輪を残したままだ

いつもは十日から二週間ほどいなくなることはあっても、季節が変わりつつあるほどこんなに長い間帰ってこないことは今まで一度もなかった

ロキがいなくなったのはあの男が来た日だ、さすがの私もロキがいなくなったのとあの男が無関係だとは思わない

ロキはいつだって私の側に居てくれた

最初はいなくなってしまった彼の代わりのように思えたけど、いつの間にかその穏やかな優しさで私も子供達も包んでくれて一緒に過ごすうちにロキはロキとして私たちの家族になっていた

私たちはまた大切な家族を失ってしまったのだろうか

子供達はロキは帰って来るって思ってるみたいだけど、何故か私はあの男とロキが重なって見えてもう戻ってきてくれないんじゃないかという不安に駆られる

窓から春の柔らかい風が吹いてカーテンを揺らす
子供達は朝から近くの公園に出掛けてしまって私は独りで二度寝している

春の風と優しい日光は去年ロキと一緒にいったお花見を思い出す

あの時は子供達の遊ぶ声を聞きながら、ロキはいつものように私の背中に丸まって昼寝をしていた

(ロキがいない背中が寂しい…)

「ロキ帰って来て、合皮を洗濯しちゃってボロボロになったのにケチってそのまま着けてたから怒った?」

「今度帰って来たら、あのブランドものの首輪を買いにいこうよ、ロキの方が似合うよ…」

夢の中で必死にロキに語りかけながら探すけど、見えるのはこちらを振り返らず遠のく姿ばかりで目に涙がたまる

「いかないでろき…」

(もうあなたを失いたくないの)
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