隣の席の不思議系彼女
「だから、ずれてるんだよお前は!」

「えー?」

俺は腕から壺山を引き剥がした。

「あのな、壺山……」

「敏!」

そういうことじゃないだろ? と壺山に言い聞かせようとしたときだった。
未だにリビングの入口に立っている父さんが声を上げた。

「おおおお嬢様、うちのせがれでよければどうぞ!!

敏お前、お嬢様の腕を振り払うなんて……!
なんて失礼な!!」

えぇぇぇえー?
ちょっと待て父さん。
俺の気持ちは?

「……お嬢様、どうぞ敏をお気の済むまで煮るなり焼くなり」

……気持ちどころじゃないわ。
まじか、俺、もしかして人質的状況?

「ちょっと父さん……」

「煮たり焼いたりはしませんよ?
大事な将来の旦那様ですもの。

では、安城さん、安城君とのお付き合いを許して下さいますか?
あと、2年後の結婚も」
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