【短編】本日、総支配人に所有されました。
私と中里 優月(なかざと ゆな)ちゃんは、同い年で高校卒業と同時にホテルに就職したという境遇同士。


以前のホテルでは予約担当だったらしいが、私同様にいざこざがあり、支配人に所有されている身だ。


職場のホテルは違うが同じ境遇で過ごしてきた者同士、話が合う。


「お疲れ様!今から食事?」


従業員食堂に辿り着き、お皿におかずを盛り付けていると後方から声をかけられた。


「今日はルームメイク行って来ました。今からお昼なんです」


宴会マネージャーの星野さんが、自分の立場も気にせずに気軽に声をかけてきたのだった。


「そっかぁ、研修は大変だけど頑張って!……?そう言えば…篠宮さん、雰囲気変わったよね
?」


「実は…支配人に幼稚だって言われたんです。努力しなきゃいけないな、って思います」


支配人が私自身が輝くようにしてくれたんだもの、努力を惜しまず身だしなみに時間をかけることにした。


年齢を重ねる事にもっと綺麗な女性になりたい、貴方の隣に立っても不釣り合いにならないように───・・・・・・


「そっか、そっか!可愛いね、篠宮さんっ」


星野さんは笑みを浮かべ、まるで子供にするかのように私の頭を優しく撫でる。


そんな私の横で優月ちゃんが呆然と立ち尽くしていた事に気が付いたが、私よりも先に気付いたのは星野さんだった。


「中里さんも頑張ってるよね、偉い、偉い!」


同じ様に頭を撫でられると優月ちゃんは、ほんのりと頬が赤くなった。


おかずの盛り付けが終わり席に着くと、星野さんは優月ちゃんの横に座り、問いかける。
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