【短編】本日、総支配人に所有されました。
支配人に案内され連れてこられたこの場所だけれども、頭の中に疑問が沢山並んだ。

「遠慮なく、入れ」


「こ、ここは……?」


ホテルの地下に位置する、この場所は何?


隠し部屋?休憩所?


8畳位の部屋にベッドとテレビ、小さなキッチンに小さな冷蔵庫、奥にシャワーもあるのかな?


「帰れない日は、ここに寝泊まりしてる。設計図の段階で出たデッドスペースに作って貰った支配人専用の部屋だ。ナイトフロントの仮眠室などはまた別の場所にある。誰も近付けない場所にあるのは、支配人の特権だな…」


「…はぁ」


呆気に取られて、相槌を打つ。


支配人専用の休憩室に呼ばれて、私はどこで休んだら良いのかも分からず、ただ立ち尽くす。


「…死角にあるから誰も近寄らないし、連れ込み放題だけどな!」


「………!?」


「うそ、嘘。とりあえず、座れ。飲み物ぐらいは出してやる」


目を丸くしたまま驚く私を見ながら、クスクスと笑う。


か、からかわれた!


からかわれたと思った瞬間に恥ずかしい気持ちがこみ上げて、顔が赤くなる。


とりあえず、ちょこんとテーブルの脇に座らせて貰った。


座ると頭の上にコツンとした物が触れ、硬い感触を感じた。


支配人がペットボトルのお茶で私の頭を軽く叩き、頭上から私の膝の上にパラパラと小さなチョコレートの包みがいくつか落ちて来た。


「頑張ったから御褒美。特別だからな」


「有難うございます…。このチョコ、大好きです、嬉しいっ!」
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