Perverse
朝礼が終わりデスクに戻ると、先週末まで私の隣に座っていた津田さんの位置が二つ隣に変わっていた。



そういえばデスクも一つ増えている。



頭がいっぱいいっぱいで何も気付かなかったけれど。



呆然と立ち尽くし、頭の中を整理する。



「…まさか…」



津田さんが移動して私の隣が空いたということは、この席に座るのはやっぱり…。




「三崎、邪魔」



「ひっ!」



やっぱりアナタのお席になるのね…柴垣義人。



慌てて飛び退き彼のデスクを空けると、見上げた彼は不機嫌そうに私を見下ろしていた。



「相変わらずビクビクしてやがんな」



「そっ…そんなことないよ。よろしくね柴垣くん」



握手を求めて差し出した私の手をじっと見ていた柴垣くんは、



「……あ、そか」



返事も返してくれずに大きなカバンをゴソゴソ探り、和菓子の紙袋を私に手渡した。
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