Perverse



「おい三崎」



「はいっ」



未だに私の隣のデスクに柴垣くんがいることになれない私は、呼ばれるとついつい萎縮してしまう。



そんな私をいつも鼻で笑いながら彼は話を続けるのだ。



「このパターン帳見づらい。お前の貸してくれ」



「あ、はい、どうぞ」



「さんきゅ」



この会社はアパレル業界に深く精通している企業で、年間の業績も大幅にプラスを出している。



近年はそれだけに留まらず、服飾雑貨全般にも進出しだした。



取引先も大手百貨店から小売店までと様々で、企画製造も自社で手がけている分、品質や値段の設定もお客様の要望に対応できる強みがある。



その多種多様な商品をそれぞれ種品番別にファイリングされているパターン帳だが、柴垣くんはどうやら個人的にまとめた私のパターン帳がお気に入りのようだ。



彼も自分の見やすいようにパターン帳を作成しているけれど、それは大阪仕様なので使いにくいのだそう。



きっと柴垣くんの事だから、一週間もあればパターン整理も完成しそうだ。
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