Perverse
「まさか。津田さんはいい先輩ってだけだよ？」



私よりも４年先輩の津田さんは、入社当初からずっと私達を可愛がってくれる優しい先輩。



営業成績も良く、柴垣くんの大阪行きが決定する前は、津田さんが連れていかれるんじゃないかと噂されていたほどだ。



ホンワカした柔らかい雰囲気を持っている津田さんは、２課の優しいお兄さん的存在で、そこに居てくれるだけで安心感をくれる人。



「確かに私にとってもいい先輩だけどね。でも津田さんって、もう何年も結菜のこと想ってるわよ。見ててわかるもの」



洞察力に優れている楓から言われると、私も戸惑ってしまう。



「沙耶ちゃんは最初の飲み会の時に気付いたらしいわ。結菜には敢えて言わなかったけど」



だったら今言わないでよ。



チラリと津田さんを盗み見すると優しい視線と絡まって、特に意味もないのにドキリとしてしまった。



楓がそんなこと言うから、無駄に意識してしまうじゃないか。
< 26 / 290 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop