私の遠回り~会えなかった時間~
私の髪は全くカラーリングのされていない黒髪。

背中まで伸ばしていて、それは私の自慢でもある。

小さい頃から、その見かけは変わらない。

「私は今更どこの美容院に通えばいいのよ。」

私は加代さんが営んでいる美容院が大好きだ。

加代さんが一人で切り盛りする小さな美容院で、昔ながらの内装。

椅子は2つ用意されているが、その両方が埋まる事はない。

加代さんは一人のお客さんとじっくり1対1で髪を切ってくれる。

予約は他の人と時間が重ならない様に、一人専属なのだ。

だから私は加代さんといろいろな話が出来る居心地の良いこの美容院にずっと通い続けているのだ。

「あら、私は仕事を辞めるけど、ここは閉店しないのよ。」

私は驚いて、鏡に映る加代さんを見た。

「私の姉の子がね、ここを継いでくれるって言うのよ。だからここを改装して好きなように使ってもらおうと思っているの。」
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