私の遠回り~会えなかった時間~
19
「お帰りなさい。荷物預かるよ。」

空港で出迎えてくれたのは、当然木本さん。

私達は近くの店に入ると、私は早速会社から預かった契約の書類を木本さんに渡した。

「なかなかいい条件だけど…、でもこのままだと30歳まで仕事漬けの生活になってしまうけど良いのかな?」

私は木本さんと目線を合わせる。

「…今は何も考えたくない。だからそれでいいと思いました。」

珍しくぶっきらぼうな私に木本さんは異変を感じたようだ。

「何か投げやりだね。何かあったの?」

木本さんの表情は優しい。

つい何もかも話してしまいそうになる。

「いいえ、大丈夫です。こうなるのが私に与えられた道なのかなと実感しただけです。」

私は苦笑した。

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