私の遠回り～会えなかった時間～

久しぶりに二人で笑った。

私は心の底から笑ったのは久しぶりに感じた。

「ごめんなさい。」

山本さんと木本さんがタイミングを見計らって入ってきたようだ。

「私があんな事を言ったから…。私が大沢さんに社命と言って、断る事が出来ないように追い詰めたようなものだわ。」

山本さんは力が抜けきったような様子だった。

「それよりも私は山本さんのクビが掛かっていると聞いて…。」

私は当時を思い出す。

「それがあの短時間であの決断を出した理由か。」

彬は何かを感じたようだ。

「山本さん、あなたは策士だな。」

そこへ木本さんが助け舟を出した。

「あの企画室で、あの会社の第一線でやって行こうとしたら、誰でも必死になります。そんなに山本さんを責めないであげて下さい。…だから仕事にも行き詰っちゃったんじゃないんですか？山本さん。」