ねぇ先輩、名前をよんで。


あいつ、あんな顔もするんだな。


あんなにしゃべるんだな。


一度、気になると、

俺の視線は橋本にばかり映った。



一回で学べよなって思うくらい自分をバカだと思った。


見ていれば気づく。


あいつが報われない恋をしていることを。


「何してんのかね、俺は……」


どう言ったって、突き進んでしまう。


それが不毛な恋だと知っていて、


俺は何度も何度も橋本に声をかける。


『そこには何もないぞ』


知っているから。

この恋を結末を。


悲しみと虚しさは


自分をどんどん追い込んでいくことを知っている。





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