ねぇ先輩、名前をよんで。

ふいっと顔をそむけてそんなことを言うと、

清水くんは「絶対着て来いよ」と笑った。


お祭り、か……。

楽しめるといいな。


先を行く彼を見つめる。



「清水くん」

「何？」


振り返った彼に私は伝えた。


「ありがとう」


いつも、いつも側にいてくれた。


元気がない時に

面白かった話をしてくれた。



あの日から、

彼は

先輩の話も自分の気持ちも私に伝えることはない。


私のことを考えるてくれているんだって

すぐに分かった。


彼がいてきちんと前を向けるようになった。


「本当にありがとう」


真っ直ぐに伝えた言葉に清水くんは

ふっ、と笑う。


「そんなこと、

俺がしたいからしてるんだからいいんだよ」