ねぇ先輩、名前をよんで。
いつも先輩の隣で笑っていた女の人が
交通事故によって亡くなったと聞いたのは
この高校に入る前のことだった。
『え、』
第一声はそれだったと思う。
それから頭が真っ白になって、
少したってから
先輩は今どうしているんだろうと不安になった。
先輩が卒業をしてから、
先輩の名前は一度も出さなくなった。
新しい恋はしなかったものの、
思い出すことも、もうしなくなっていたところ。
その噂が入って来た。
『先輩……』
私はそれを聞いて
いてもたってもいられなくなった。
先輩は今どうしているんだろう?
あんなに幸せそうに、
大切な人のことを話していた。
その人が突然いなくなってしまって、
どう思っているだろう。
悲しんでいたら、