ねぇ先輩、名前をよんで。
2章:愛しさと、むなしさ。
清水くんの言葉
そよそよと風が吹く10月。
鮮やかに咲いていたこの葉が
だんだんと色を無くし枯れ葉に変わる。
夕方の屋上は少し肌寒くなって来た。
それでも私たちは今まで通り、
屋上で話をしている。
「先輩はちゃんと授業に出てるんですか?」
ある時。
私は先輩にそう聞いた。
「なんで?」
「だっていっつも私が来ると先輩がいるんだもん。
今まで一度も私が早かったことないし」
「うん、まあけっこうサボってるしね」
そんなことをしれっと言って見せる先輩。
やっぱり、ちゃんと行ってなかったんだ……。
「単位とか大丈夫なんですか?」
「どうだろうね」
髪をかき分けて、興味なさそうに返事をする。
自分のことなのに、どこか他人事だ。
「そんなことしてたら卒業出来なくなっちゃいますよ」