君の日々に、そっと触れたい。
【賢太郎 side】


俺のクラスメイトには、ちょっと変わった奴がいる。

クラスメイトと言っても、会話をしたことはほとんどない。

名前は古城 李紅。

明るめの茶髪に蒼い瞳。日本人離れした顔立ちはまるでどっかの国の人形みたいで、ただ座っていただけなのに入学式ではすごく注目されていた。

だけどアイツは、何故かその入学式以来全く学校に来なかった。先生に聞いたら、休学届が出されているとだけ教えられた。

入学式であれだけ目立っていたから、アイツの休学には疑問を持ち始めていたんだ。

そんな中、アイツと小学校が一緒だったと言う数人の奴らが、アイツが小さい頃から小学校も休みがちだったという話を広め、俺もアイツが病気で休学中だということを知った。



だけど一年後、つい1ヶ月前に復学してきたアイツは、”そんな風”には見えなかった。



『古城 李紅です。骨髄に癌があって、今まで学校に来れませんでした。だからはじめましてだけど、気にせず仲良くしてください!』



復学初日、アイツはその人形みたいな顔立ちを惜しげも無くくしゃりと歪めて、心底嬉しそうに笑った。

確かに痩せてはいるし色白だけど、そんな重い病気を持っているなんて、その笑顔と明るさからは微塵も想像がつかない。


その明るさもあってか、アイツはすぐにクラスの女子たちに打ち解けた。……だけどそのせいで、一部の男子には険悪にされているみたいだ。

俺は無視なんてくだらないことはしない。だけど、確かにアイツは近寄り難い、というか絡みづらい。基本的にいつも一人だし。何を考えているのか分からない。


だけど、まぁ。任された委員会にくらいはちゃんと来るだろう。

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