御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
プロローグ

「子どもたちに、最高の未来を用意したいんです」

テレビから好感度しかない爽やかな笑顔が飛び込んできた。

とびきり凛々しい顔立ちのその青年は、吉良鷹凪(きら たかなぎ)。
知らない人はいない、今日本で一番ホットな有名人だ。

甘いルックス、紳士的な立ち居振る舞い、そしてほとばしる正義感とあふれる情熱。
彼の演説はカリスマと呼ばれ、老若男女問わず多くの国民を魅了する。

若い女性たちからは抱かれたい男ナンバーワンとまで称され、彼の歩く先には黄色い悲鳴が鳴りやまない。

「難しいことを言うつもりはありません、ただ、子どもたちの笑顔のために、誠心誠意尽くすのみです」

(嘘のない、誠実そうな瞳……)

奏(かなで)はぼんやりとその清らかな横顔を見つめていた。

(私とそこまで歳も変わらないのに、すごいな……)

政治不信が強まる中、期待の新党を結成しマスコミを味方につけた彼は、弱冠三十歳にして総理候補とまで呼ばれるほどになった。

(優しそうなのに、芯が強い……堂々としていて、格好いい)

政治には詳しくない奏だったけれど、彼の言っていることが希望に満ちあふれていることだけはわかる。

(不思議……この人なら信じられる気がする)

この暗い日本を変えてくれる。奏を含め、誰もがそう期待していた。
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