御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
バスローブを乱暴に体に巻きつけて、ふたりはベッドの上に倒れ込んだ。

拭ききれなかった雫がシーツに落ちて、じんわりと周囲を濡らしていく。少しだけひんやりとする。

けれどシャワーのお湯と求め合う気持ちとで熱くなってしまったふたりには関係のないことだった。

熱く湿った素肌が絡みあい、愛おしい。

奏は生まれて初めて狂わされた理性に、戸惑いながらも充足感を覚える。

「愛してる……奏……もっと気持ちよくしてやる」

挑発的な声が奏の耳もとで発せられたが、痺れていうことを聞いてくれない体にうまく答えることができない。

「私……も……愛し……」

彼に答えようと必死になる体は、愛の言葉のひとつも紡がせてはくれなかった。

ゆっくり、時間をかけて、じわりじわりと洗脳されるように、体が鷹凪に満たされていく。

同時に、自分が鷹凪を満たしているのだとしって、どうしようもなく嬉しくなる。

「これでやっと、夫婦になれる」

ふたり、ひとつになるように体を震わせたあと、鷹凪が脱力しながら大きく息を吐く。

「やっとお前を手に入れることができた」

凛々しい顔つきを綻ばせて、子どもみたいに笑った彼が、奏の脳裏にいつまでも焼きついて離れなかった。


< 127 / 147 >

この作品をシェア

pagetop