御曹司と契約結婚~俺様プレジデントの溺愛に逆らえません~
先ほどまでペット扱いだったのに、突然欲情した鷹凪が襲い掛かってきた。

後頭部に手を回され、熱い口づけをしてきたから、奏は再び頭の中がパニックになる。

「鷹凪さんは、猫相手にこんなことするんですか!?」

「お前は人間だろう」

(さっき猫って言ったくせに!)

恥ずかしさにじたばたと暴れて水を跳ね上げる奏に、鷹凪は鬱陶しそうに手を離した。

「それなら、いつになったら抱かせてもらえるんだ?」

鷹凪の呆れた声に、奏は「そうですね……」と思案する。

「……じゃあ……鷹凪さんが総理大臣になったら……」

「本当だな?」

当分先の話だろうと思い冗談で言ったのだけれど、鷹凪はニヤリと意地悪な笑みを浮かべて奏を見下ろした。

「総理になったら、だな。覚えておけよ奏。意外とすんなり、なっちまうかもしれないから」

自信満々のもの言いに、奏はサッと青くなる。もしかして、自分は答え方を間違えたのだろうか。

胸もとのタオルをきゅっと抱きしめながら、鷹凪を見上げる。
「せめて今は、俺のそばにいろ」鷹凪はそう言って奏の体を自分の脇に引き寄せる。

触れ合う体に、絡まる力強い腕。そして試すような彼の視線に、のぼせそうになりながら奏は湯に浸かっていた。
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