冷酷な騎士団長が手放してくれません
この感情を、認めてはいけない。先にあるのは、果てしない絶望だけだからだ。





喉まで出かかっている想いを、ソフィアは押し込めた。


これ以上、リアムと会ってはいけない。以前のように、気やすく触れ合ってはいけない。


小さく息を吸い込み、震える胸を落ち着かせた。


そして、こちらを見ているリアムから視線を逸らすと、背を向け部屋へと戻った。





ベッドに入り、身を縮めるように丸まる。


湧き出る思いが、零れて行かないように。


自分が、傷つかないように。






それでも、窓から見える夜の帳からは、彼の気配を感じる。


静寂の中、深海のように青い瞳がソフィアを見守っているのが伝わる。


どうしようもなく震える胸を抱き、ソフィアは感情を押し殺して、切ない一夜を明かした。
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