冷酷な騎士団長が手放してくれません
そこで、ようやくリアムは唇を離した。


ソフィアの唇と触れ合ったばかりの唇が、水気を帯びている。


熱情冷めやらぬまま、恍惚とした気分でソフィアはそれを見つめる。





「どうでしたか?」


リアムの体温が離れていくのを、名残惜しく感じるのはなぜだろう。


熱を送り込まれる前とは体が違う。大事なものを削がれたみたいに、心許なかった。


「……平気だったわ」


呆然としたままそう答えれば、青々とした草原に座り込んだリアムは、愛しげに目を細めて微笑んでくれた。
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