恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
冷たくて、温かい男(ひと)
「ここに座って」
「はぃ・・」

岸川さんの言うとおり、従順に椅子に座った私を、岸川さんはじっと見ながら、「なに」と私に聞いてきた。

「その・・慣れてるなと思って」
「は?何に」
「えっと、子どもとの接し方・・です」
「あぁ」と言ってフッと笑った岸川さんに対して、私はなぜか、ムカッときて・・・。

それ以上に、ドキッとしてしまった。
今の表情を見た(それとも見て「しまった」?)だけで、私の体温が上がった・・・かも。

私は、逸っているような気がする心を静めるように、左胸のあたりに、一瞬だけそっと手を置いた。

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