恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
ほんの少しの会話でここまでドキドキ・・疲れたのは・・・初めてかもしれない。
でも。家族以外の誰か――男の人――に「湖都」って呼ばれたのは――しかも一時に何度も――岸川さんが初めてだったから・・・。
主人でさえ、私のことは「湖都ちゃん」と呼んでいた。
それも結婚後、間もなくのことまでで、それ以降は「おまえ」としか呼ばなくなっていた・・気がする。
壮介さんが言う、私への「おまえ」は、愛情がこもった「俺の者」的ではなく「俺の(所有)物」的な響きに聞こえるから、私は不快に思って・・最終的にはうんざりした溜息すら出なくなっていた。

なんか、壮介さんのことが遠い、遠い存在に思えてならないのは・・・もう無関心だから、かな。
その、関係は――一応――まだあるけど無関心な主人からは、今日も連絡がなかった。

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