恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
料理とコーヒーのトレイをリビングのテーブルに置いて、サッとソファに座った母は、やっと私に「何があったの」と聞いてきた。
私は、時折目に涙を浮かべながら、壮介さんとの「一件(あらまし)」を、包み隠さず母に伝えた。
壮介さんがどれほど酷い男性(ひと)か、ということよりも、壮介さんが翔に対して言ったことやふるまいが――そして私のふがいなかった態度も――どれだけ翔の心を傷つけたのかを、母にも知っておいてほしかったから。

私から話を聞き終えた母は、意外にも私が想像した以上に怒りをあらわにしながら、「あんな男には社会的制裁を加えるべきだわ!訴えてやる!こっちは腕のいい弁護士知ってんだから!」と息巻いた。
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