恋よ、来い。 ~傷心デレラの忘れもの~
そして母は、「あぁそうそう。確か岸川さんの名刺があったわよねぇ」と言いながら、テレビ台の方へと歩いていった。
引き出しを開けて岸川さんの名刺を探す母の背中に向かって、私は思わず「探さなくていいよ!」と叫びそうになった。
なぜか、パンドラの箱を開けてしまいそうな不安にかられてしまったから・・・。

でも私が叫ぶ前に、母は私の方へ戻って来た。1枚の名刺を手に持って。

母は、ニコニコしながら私に名刺を渡した。
私は震える手で、それを受け取った。

「・・・あ・・・」

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