白と黒の魔女

〜セイティアの森〜
「誰かいるのか？」

「魔女様、、また、愚かなものが入ってきたみたいです、私が追い払ってきましょう。」

「待て、結界がある、入ってはこれまい。」

「ですが、ここに入ること事体、許せぬことです。」

「そう 怒るな、ヴェンス。お前は気高い妖精だ
そんなことで腹を立てては妖精王がまたしんぱいする。」

「、、、わかりました、万が一にも、いえ 億が一にも入ってきたら、、どうなるおつもりですか？」

「それは、、、さぁな。だが、結界に入れたというなら、強い魔力の持ち主だ、出会って損はないだろう。そういえば、ここに入ってきた民は？」


「働かせています。」

「休みは？」

「適度に休ませてはいます。」

「ならいい。ヴェンスはこのまま監視を」

「承知いたしました。」

深くお辞儀をし、ヴェンスは監視を続ける。


一方、帝国魔道兵士側は、

「殿下、気づいておられますか？」

「ああ。ランドールも気づいているみたいだな。ただならぬ魔力だ。」

「私が死んだら、家族には殉職だとお伝えください。」

「数十年、魔道師隊長をやってるんだ、簡単には死なないだろう、それに死なせはしない。」

「殿下、、、立派になられましたね。」

「もう、24だしな。そういえば魔女は何歳ぐらいなんだ？」

「さぁ、わかりませんな、噂ではまだ成人してないだとか、、、」

「成人してないのか！？若いんだな」

「確かではありませんが、会えばわかるでしょう。」

「そうだな、、、っ 痛」

「殿下！？どうなされたのですか！？」

「結界だ、、。」

「そうみたいですね、、、」

「ランドール、、後ろを見ろ」

ランドールは後ろをみた。魔道兵士達は誰一人付いてきていなかった。

「何者だ！貴様ら」

人間と動物が融合したような小さな体をしている妖精が、今すぐ噛みつきそうな目で私達をみている。

「すまない、私はバルト帝国第二皇子、ヴァルヘルムだ。となりにいるのは、バルト帝国魔道師隊長 ランドールだ。」

「貴様らがどんなご身分か知らんが、そんなことはどうでもいい。人間だな！ここに人間は入ってはいけない！」

「だが、民が消えているという噂を聞く。皇子として放ってはおけない。」

「そのもの達は、自ら望みこの森いるんだ！貴様らには関係ない。」

「だが、、」

「これ以上長居する気なら、殺す。」

身構えた瞬間光が現れ、綺麗な女の人が出てきた。


「やめなさい、ヴェンス。申し訳ない、ヴェンスは妖精で、人間を好かぬ。悪気はないただ、人間を信用できないのだ。」


「魔女様！なぜお止めになるのですか！？」

「無駄な争いを避けるためよ、それにこの者たちはただ、状況を知りたかっただけでしょう。普通の人間ならまだしも、バルト帝国第二皇子となっては追い返せません。」

「この人間に価値があるのですか！」
ヴェンスが強く言い放つと、

「ヴェンス、良い加減になさい。私とて、人間を通す気などないわ。けれど第二皇子は善人で、民に好かれ、誰よりも魔女と交友を深めようとしている。それに、大きな魔力を持っている。本来なら迷うだけが人間、だが、今回は違う、ちゃんと結界を通ってきた。ヴェンス、お前の言いたいことはわかるが、これは私の意向よ、どうか察して。」
ヴェンスはショボンとしていた。
「はい、魔女様。全ては魔女様のままに。」

優しい顔をした魔女は、
「どうぞ、お二方。」

「感謝します。魔女様。」

人間のものと変わらぬ屋敷、貴族のような庭園だ。

「殿下、、魔女様と呼ぶ必要はありませんよ。」

「では、なんと呼べば、、？」

「ルルア、ルルア.コルヴァットです。」

ルルア.コルヴァット、それが気高き魔女の名前。
きっと誰もがセイティアと思っている。



そして、誰も知るよしがないだろう。




この名前を知ったその瞬間から、第二皇子と魔女ルルアの運命が動き始めることを。