溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
受け取ったお弁当の包みを開けると、いつものように附箋が貼ってあった。

“おいしかった。
蓮根のきんぴらは好きだ”

眼鏡のイラストの描かれたそれににへらと顔が緩んでしまう。
お弁当箱から剥がした附箋は、キッチンに隠してあるノートに貼り付けた。
ほとんど同じ内容の附箋だけど、私にとっては宝物だ。

「洗濯物、ありがとうございます」

干し終わった蔵人さんがキッチンにきて、冷蔵庫から缶ビールを掴んでいく。
でも後ろを通り過ぎるとき、ちゅって頬にキスされた。

「あの、えっと、その」

唇のふれた頬が熱い。

「和奏が可愛かったから」

言ってることもやってることも甘いのに、相変わらず蔵人さんの表情筋は死んでいる。
でも最近、眼鏡のかかる耳が赤くなってるのに気づいてしまった。
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