溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
――でも。

「訴えたりしないです。
それで職場の人間関係、ぎくしゃくしたりするの、嫌ですから」

笑ってみたら、じっと眼鏡の奥から見つめられた。
間違ってると言われている気がするし、実際、この決断は間違っているのだろう。

でも、嫌なのだ。
自分のせいで人間関係が拗れるのは。

「和奏」

会社なのに下の名で呼ぶ君嶋課長に、手がびくんと動いた。

「上司としてじゃなく、夫として聞く。
……本当にいいんだな」

まっすぐに私を見つめる君嶋課長にいたたまれなくなって、すーっと視線を外してしまう。

「やだ、それ、なんですか。
なんか違いがあるんですか。
聞き方変えたって、考えは変わらないですよ」

鼻の奥がつんと痛くなる。
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