溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
私が傍に立つと石川さんは怯えていた。
きっと君嶋課長に厳しく注意を受けたのだろう。

「わかればいいんだよ、わかればぁ」

あたまを下げたとたん、にたぁっと石川さんがいやらしく笑った。

「だいたいさ、君嶋もパワハラだなんだっていちゃもんつけてくるけど。
俺は久保がまともに仕事ができるようになるように、指導してやってんの。
感謝して欲しいくらいだなぁ」

石川さんはわざとらしく胸を反らすと、にたにたと笑っている。
ちゃんと言い返すべきだってわかってる。
でも私は小さくなって、ぺこぺこあたまを下げるしかできなかった。

「ほんとうにすみませんでした。
二度とこんなことがないように気をつけます」

「もう俺の足を引っ張るようなことはしてくれるなよぅ、なあ、くぼぅ」

嘲るようににたにた笑っている石川さんから逃げるように自分の席に戻ると、君嶋課長が無表情にじっと見ていた。
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