溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
父のがなり声に思わずベッドの上で正座していた。
リビングでかけなくてよかった。
あそこでかけていた耳が痛くなるほどの父の声はもしかしたら、書斎の君嶋課長に聞こえてしまったかもしれない。

「いろいろ、いろいろあったんです。
それで、しょうがなく」

『あんなクズ男、おまえが不幸になるだけだぞ!』

父が言うクズ男とは洋のことだろう。
父の意見に賛同することは滅多にないが、それだけは珍しく同意見だった。

「その、洋じゃなくて会社の上司の君嶋課長と結婚しました」

『会社の上司!?
そんなくそおやじとの結婚なんて認めないからな!』

父の中で私の上司はどれくらいの年齢設定になっているんだろうか。
まさか、自分と同じくらい?

「あの、君嶋課長は私より四つ年上の三十二歳です」

『知るか、そんなこと!
とにかくこんな急な結婚、認めないからな!』
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