白雪姫 ~another story~

「はい、みんな静かに。授業を始めます」

「お願いします」

まったく、昔あんなに人嫌いだった僕が教師になるなんて。

とはいへ生徒と関わるのはやはり得意ではない。

しかし5年目にもなると担任のクラスはある。

今は1年生のクラスを担当している。

しかしまだ入学してから時間がたっていないため、クラスの生徒の名前も覚えられてあない。



「授業を終わります」

「ありがとうございました」

授業を終え、そそくさと教室を出たときだった。

「先生」

と後ろから女子生徒に呼び止められた。

「なんですか」

僕がそう言って振り返ると

「あの...」

と女子生徒は何か言いたげに僕を見た。

「なんですか?急いでいるので...」

「先生って白雪姫を知っていますか?」

と急に聞かれ一瞬何が何だかわからなかった。

白雪姫...

「絵本の、ですか?」

するとその生徒は首を振った。

「10年前にある病院にいた白雪姫です」

その言葉に驚いた。

結姫...のことか...

「ああ...」

でもなぜこの生徒は知っているのだろうか。

「なぜ彼女を知っているのですか?」

そう僕がたずねると

「私、あのとき入院していたんです」

「え?」

「それで...先生が一緒におにごっこした人に似てるなぁって...」

おにごっこ...

そういえば昔、大輝に無理やりおにごっこでおにやらされたことが...

と昔のことを考えていると

「先生?」

と不思議そうに女子生徒がこちらを見ていた。

「あ、すまない」

そう言うと

「先生にやけてましたよ」

と生徒に笑われた。

っ...

まったくこんな失態を晒すとは...

まあいい

「よ、用事はそれだけですか?」

と誤魔化すように言うと

「はい、ありがとうございます」

と笑うと女子生徒は教室に戻っていった。

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