天使は金の瞳で毒を盛る
そんな日々が過ぎて、少し落ち着いたある日、お父様からいきなりお食事のお誘いがあった。

「どうしたの?いきなり。お忙しいのに」

「つれないじゃないか、我が娘は」

高級ホテルのレストランから見える夜景は相変わらず綺麗で、食事に美味しさを加味する。父はニコニコしてなんだか楽しそうだった。

お父様と向き合うのは久しぶり。最近は全くというほど屋敷にもどってこない。

「お話があったのでしょう?何?」

まさかと思うけど、新しい縁談じゃないかと実はドキドキしていた。でも、榛瑠との話は一応継続中のはずだし。

「まあまあ。たまにはゆっくり食事でもしようと思っただけだよ。ここの料理好きだったろう?」

「うん…」

確かに美味しいけど…。まあいいか、久しぶりのお父様との時間を楽しもうっと。

「おお、そうだ、忘れるところだった。来月の23日あけておきなさい」

「何かあるの?」

「群城グループの新社長の就任パーティーがある。一花も出席しなさい」

「群城…?」

なんだっけ。

「知らないのか?前会長が亡くなって孫が後を継いだろう。ほら、お前たちと同じ学園だったはずだぞ。榛瑠の何期か上だったか」

あ、思い出した。

「群城先輩達だ、あ、そうなんだあ。確か榛瑠より二個上の生徒会のメンバーだったよ。だから直接は知らないけど」

私、その頃まだ中等部だったもん。でも、群城家の双子は有名だった。二人ともそっくりなイケメンで、でも性格は違ったらしく、似ているのに似てない双子っていって、騒がれてたからなあ。

「それにしても随分若く就任したね?」

「他にいないからな、あそこは」
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