突然現れた御曹司は婚約者
週末の日曜日。

白のカットソーに水色のロングカーディガンを羽織り、スキニージーンズと白のパンプスを履いて自宅の前で待つ。

そこへ到着したのは車に疎い私でも知っているほどの高級車。

降りて来たのは白のカットソーに青色のジャケットを羽織り、ジーンズを合わせた蓮だった。

互いの服装を見て蓮は笑い、私は困る。


「ペアルックみたいだな」
「すみません。急いで着替えて来ます」


食事と洗濯のお礼を兼ねたデートだとは言われていたけど、これでは相思相愛の恋人同士みたいで落ち着かない。

でも蓮は玄関へと戻る私の手を取り、着替えなくていいと言う。


「婚約者なんだし、ペアルック、大歓迎」
「婚約者では…」


否定する私の背中に蓮は手を回し、車の助手席へとぐいっと押し込んだ。


「さ、乗って。今日はスケジュールいっぱいだから時間ないんだ」


そう言って運転席に乗り込んだ蓮はすぐにアクセルを踏み込み、発進させた。

でも赤信号で止まったときに、いちいちこちらに顔を向けてジッと見て来るのが気になって、3回目にして蓮に聞く。


「なんですか?」
「いや、栞が助手席に座っていることが信じられなくて」


自分から誘っておいてなにを言っているのだろう。

首をかしげると、蓮は眉根を寄せて切なく笑った。


「栞が俺を受け入れてくれるには時間がかかるだろうな、と思っていたから」


それって裏を返せば出会って間もないのにこうしてデートの誘いを受けた私は軽いと取られたということ…?
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