-SHORT STORY- 涙雨 ナミダアメ 〜届かない心〜

I miss you...



君もどこかで、僕と同じ空を見てるかな。

そう思いたい。

信じていたいよ。


さっきまで飛行機が浮かんでいた大空は

分厚い灰色の雲に隠されて、

暗くて狭い世界に閉じ込められてる。

だんだん雨の匂いが漂ってきて……。


ーまた思い出すよ。


君と出会った日。

君と過ごした毎日。

君を抱いた夜。

君の涙。

君の恋しさ。



僕は未だに君のことが忘れられなくて、恋しいのに……。


まだ、君の涙を無視したことを後悔してる。

まだ、君に想いを伝えなかったのが悲しい。



半年以上前から持っている小箱。

いつもカバンの中に入れていて。

……中身は何だと思う?




指輪。

君を幸せにすると誓う証(しるし)。



でも、僕は誓えなかった。


僕の考えが身勝手だったことも、

想いが自己中だったことも分かってる。



気がつけば、空から降る雨が、

僕の身体を容赦なく流れてる。


天気予報なんかじゃ絶対に予報できない、

本当に短い時間の、弱い雨。


ー涙雨。

柔らかく降り注ぐ太陽の光のような、

優しい、ほんの少しの、悲しみの雨。

人々が流した涙が、

神様の涙になって降り注ぐ、

愛にも似たような雨。



悲しみも後悔も、全て流れていく……。

涙雨に混ざって、涙が頬を伝う。


君が恋しくて、

君を見かけるたびに何もできない自分がもどかしくて、

君に会いたくて、

君が忘れられなくて、


君が恋しいから……。




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