雪と制服とジャージ
――お前の気持ちが変わらなかったら、また、卒業してから来い。その時は、追い返したりしないから。

あの雨の日、先生が言ってくれたことは、まだ成り立っているのかなぁ……。
そして、またこのダークブルーの箱を見つめる。

「よしっ」

まだ、卒業はしていないけれど、あげたい気持ちは止められない。
私はその小さな包みを手に取り、レジへと急いだ。



さて、このチョコ、どうやって渡そう。

体育教官室まで持っていくのも……

誰かに見つかるのもいけない気がするし、おうちに行っちゃうと叱られる気もするし、うーんうーんと悩みながら、コンビニ袋に入ったチョコを大事に鞄にしまう。

……下駄箱ってどうかな?

教職員用じゃなくて、体育教官室の下駄箱に。

それだと、誰かに見つかる可能性もぐんと減るし、うんうん、いいかもしれない。

一人納得して、14日、久しぶりに制服を着た私は、朝早く学校へ行くことにした。
< 2 / 15 >

この作品をシェア

pagetop