結局、世の中顔なんだ
プロローグ
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昼休みの屋上。
上を見ると、青い空が広がっていて眩しい太陽の光に目を細める。
空から目を逸らし、真正面を見ると、黒い綺麗な髪を風になびかせながら、俺を鋭い目付きで睨んでいる美少女がいる。
その美少女とは俺の彼女、つまりガールフレンドだ。
急に屋上に呼び出され、何かと思えば睨まれる。俺は彼女になにかしてしまったのだろうか。

不安になり、声をかける。

「あの、さ、どうしたんだよ。急に呼び出して。
なにかあっ──」

『何かあったのか』そう聞こうと思ったら、
広い屋上にバチンっと、痛々しい音が響いた。
何があったのか、理解できない。
彼女をみると、顔を真っ赤にしながらさっきよりも、
もっと鋭く、まるで怒ったライオンや虎のように
俺を睨んでいる。
俺の右頬はヒリヒリと痛みを帯び、やっと、何が起きたのか理解ができた。

──頬を叩かれたのだ。


『何をするんだ』そう言って怒る。そういう展開を望んでいた。
だが、彼女が先に口を開いた。


「──貴方も結局、顔だったんだね……」
「────は?」

──その時の彼女の表情は哀しそうだった。

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