初恋の物語
「最悪だ。明日からいつもの電車に乗れないよ」
大袈裟ではなく心の底から最悪の気分だった。

「これを機に新しい恋でもするんだな」
翼は完璧に他人事だ。

「そんな簡単に心変わりできるかよ」

「なんなら俺が紹介してやるよ。おまえも顔は悪くないんだからその気になればそこらへんの女ならいくらでも付き合えるだろ」

「遠慮しくよ」
今だけは翼のこの性格が心底羨ましいと思った。
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