初恋の物語
彼女達に連れられて駅の近くにあるカフェに向かった。

一人じゃ怖かったので翼に一緒についてきてもらい、店の中に入るとそれぞれ注文して席に着いた。

少しの間沈黙が流れまず口を開いたのは彼女の友達だった。

「私は清水絵見、この子は山本楓。あなた達の名前は?」

「明石創太」「佐藤翼」
俺と翼がそれぞれ答える。

「今日は楓からあなたに伝えたいことがあって君を呼んだの創太君」

「昨日のことだよね?」
俺が楓に訪ねると、
「うん。昨日は急の告白に驚いて断ってしまったけど、私もあなたが好き」
楓は消え入りそうな声を絞り出すようにそう言った。

俺は思わず「えっ」と言ってしまい、隣の席の翼も「マジかよ」と呟いた。

「ほんとに? ほんとに俺のことが好きなの?」
彼女の言葉を聞いても俺はとても信じられないでいた。

「好きだよ」
楓の顔は少しだけ赤くなっていた。

「よし、それじゃああんたら明後日の日曜、デートしてきな」
と絵見が言った。

絵見の急な提案に俺は驚いたがそれは楓も同じようだ。

「そんないきなりデートなんて無理だよ絵見」

「いいじゃん。あんたら両思いなんだからさ」

「でも……」
なにか言いたげな楓の言葉を絵見が遮り、
「でもじゃない。創太君もそれでいいでしょ?」
俺としては願ってもない提案だったので、
「俺は大丈夫!」
と即答した。

帰りぎわ、ドスの効いた声で絵見に
「楓悲しませたらあんた許さないから」
と耳元で忠告され背筋が凍った。
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