ー 君の落とし物は空へ続いてる ー
「じゃあね、歩夢。


おやすみ」


「おやすみ椎名」



君と別れた。



君が家に帰るのを確認して、俺は家へ入らず来た道を戻る。


やっぱり気になる。



あの桜の木の下に、俺は立つ。



君が無くしたリボンは、木の上にあった。


暗がりの木の上にピンクのリボンが、揺れていた。



君の大切なモノーーー



あの木の上から落ちたら下は、コンクリート。


死ぬ。

運よく助かっても、大怪我か。


だけど……



君の笑顔がみたい。



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